蜜ろう造形とHANAno

古からの技術が今に活きる

はじめに
蜜蝋を様々な造形の原型につかう「蜜蝋蝋型鋳造」技術は、仏教装飾の技術伝来とともに日本に伝わり受け継がれてきましたが、
現在は蜜蝋造形はあまり知られず、芸術や彫金を学ぶ場でも詳しく教えるところはほとんどありません。
先人たちの書物などから辛うじてその技術をうかがい知ることが出来る程度です。
その中で、私たちHANAno(ともやすアンドカンパニー)は50年以上蜜ろうでの造形を日常の仕事として続けてきました。
時の流れと共にその技術や技法は手から手へ受け継がれて現在に至ります。
蜜ろう材の作り方から扱い方、造形に適したその時々の環境の調整など細々としたことまで全てが日々の積み重ねられ
知識、実感、実力として技術が継承されています。


ヒキメのジュエリーはシンプルな表情が特徴です。


蜜ろう造形に重要なのは、鋳造され
シルバー(金属)になったものをイメージすることです。

蜜ろうの面白さは全く同じヒキメは
二度とひくことが出来ないことです。
そして完全に思い通りにひくこともできません。
だからこそ、シルバーに鋳造した形をイメージすることで
ヒキメの偶然性から生まれたヒキメと作り手の
イメージが融合され美しいジュエリーになります。

作る形をイメージしながら美しいヒキメの線をひき、
やわらかく指先でカーブを付けたり、芯棒に巻きつけながら
ひねりを加え、幅や長さ厚みを手指で調整して
形をデザインしていきます。



引くたびにひとつひとつ表情が変わるヒキメの凹凸に
なるべく手を触れないように、美しいラインを壊さないように理想の造形にしていきます。

蜜ろうをやわらかくして引いた「ヒキメ」は他の素材では
表現することのできない有機的で伸びやかな
曲線の美しさが魅力です。

そして蜜ろうのヒキメが美しいことが
シルバー(金属)で仕上げられた時
シンプルで美しいジュエリーの絶対条件となります。

蜜ろうで作った形はそのままシルバーに鋳造されます。

鋳造したてのシルバーは真っ白です。
この白さとヒキメの線を損なうことがないように
ジュエリーとして安全に使うことができるように
細心の注意をはらいながら丁寧に形を整えていきます。
そして光や輝きはヘラを使い

磨いたところは光の線に、磨かないところは陰影を際立たせ

絵を描くように、筆で文字を書くように
丁寧に手磨きで仕上げます。


最適な素材選びや仕上げの技術、それらを妥協せず
どの工程も分業することなく

ひとつの作品をひとりのクラフトマンが
最後まで仕上げることで
一点づつ個性を持った作品となり
自信をもってお届けすることができます。

自分自身にとって価値のあるもの、
心地良いものを身につける。
という選択をする方々へ手にしていただきたい

それが私たちの願いでありモノづくりへの姿勢です。