2019/10/19 09:53

手間を惜しまず、細部にまでしっかりとこだわりと技術をつぎ込んだギターのブローチ

構想から制作、完成までに込められた想いやこだわりを綴ります。



楽器として、形としても魅力的で大好きなギターを身につけるアイテムとして作ってみたい、歴史有るメーカーやモデルにオマージュした形をよりリアルな表現で作ってみたい。そんな想いから制作が始まりました。


作りはじめに、弦楽器をつくるからには「弦」を張りたい、弦を張ることで弦楽器の持つ独特の優雅さや緊張感を表現したいと思いました。(ジュエリーやアクセサリーでは、凹凸や鏡面の表現で弦の表現がされることが多く、金属の弦を実際に張っているものは多くはありません。)そして弦を張るからには、ただ結ぶ、留めるだけではなくて実際に近い弦の張りかたにしたいという目標を立て制作が始まりました。


素材は、銀・シルバーの持つ優しい光、磨きを入れる前の白さ、時間と供に燻したように変わっていく色の美しさ、そんな魅力的な素材で作られたこのギターが、時を越えて大切にされている楽器と同じ様になったらという思いを込めて選んでいます。



素材選びに続き、弦を張るヘッド部分を出来る限りコンパクトに出来る構造、そこから考えるネックの太さやフレットの数、考えることはつきません。そして何より、完成したときに違和感を感じないように、パーツの一つ一つの大きさを考え、デフォルメしながら形を作り出す作業は、今までジュエリー制作を自身が20年以上続けてきた中で日々学び、身につけた技術を用いて、また3DプリンターやCADなどに頼らず、すべて自己完結できる方法の中から考え出す面白い挑戦でした。



弦を張ることが前提なので、正確に「実物の何分の一」という計算した作り方は出来ません。自分のデフォルメしたボディの大きさを考え、ネックやピックアップ、ブリッジなどそれぞれに「この位置?この大きさ?太さは?」と考えながらパーツ作りをし、組み合わせの順序など試行錯誤と微調整を繰り返し、時に失敗しながらも実現していくことは、実物のギターを作るかのような想像が膨らむ面白さや喜びになりました。



最終仕上げでは、モデルになったギターの持つ雰囲気や質感を、ギター本来の木板とは異素材のシルバーからも感じられるように心がけ、ボディは縁から徐々にぼかして磨くことで陰影を出し、ネックはしっかりと輝かせる、そしてモデルギターのカラーをイメージしたルビーを使うことでモデルギターへの思いを込めました。




そうして完成したギター「L.S.1」

時間や材料、すべてに於いて省略をしない、でも無駄に材料を使いすぎず最適な質量や質感を実現しました。


手にした人に感動していただける、そんな作品です。




さて、「ブローチ」ってちょっと使い方が判らない、そもそも着けて出かけない、などと思われるかもしれません。

でも少し「身に着ける」ところから発想を換えてみるといろいろな使い方が出来て楽しみが膨らみます。



たとえば、愛車のミニカーをインテリアとしてお部屋に置くように、ギターも置物として飾っていただくと、しっかりとした作りやシルバーならではの質感の映える空間が演出できます。

(飾るときに最適な『専用ギタースタンド』が付属しています。勿論このスタンドも手作りです。)




そして、額に入れて壁にかけたり、写真と並べていただくことも出来ます。


また、バッグやリュックサックに付けていただくとシンプルな中にキラリと光るお洒落感が味わえます。



このブローチは針を上から下へ挿すので、落ちにくい、外れにくい仕組みになっています。

また、付属のシリコンストッパーを使っていただくことで、より落下などを防ぐことが出来ます。














自由な使いかた、楽しみ方を見つけていただきながら、日常がちょっと上質で心が豊かになるアイテムです。